PET-CT検査について
PET-CT検査とは
病巣部の機能を速やかに診断する「PET画像」と細かな位置情報を検出する「CT画像」がひとつになった検査システムです。
PET-Positron Emission Tomography
PET検査は、ブドウ糖に似たごく微量の放射線を出す薬(FDG)を注射して、専用装置(PETカメラ)のベッドに横になっているだけで終了します。
ほとんどのがんは、ブドウ糖をエネルギー源としています。PETでは、がんにFDGが集まっているところを調べ、がんがどこにあるかを発見します。
※ポジトロン:プラスの電気を帯びた陽電子の事。この周囲のマイナスの陰電子と結合して消滅するときに出す放射線(=ガンマ線)をPETカメラで面像化する。
PET-CT検査の有用性
PET-CT検査は薬剤投与時の注射の痛みを除いては、ほとんど苦痛がありません。薬剤に伴うアレルギーの報告も極めてまれであり安全性の高い検査です。1回の撮像時間は当院の機器を使用して約15~20分です。心身に大きなストレスをかけること無く、全身のがん検査を可能とし多くのがんを早期の段階で発見することができます(ただし例外はあります)。
*最新の放射性医薬品副作用事例調査報告(2018年度調査、2020年公表)によりますと18F-FDG投与例216844例でアレルギー反応を起こした方は1名のみ、それも皮膚発赤・掻痒感(かゆみ)という症状であり、非重篤とされています。
*撮影機器はCTに近い見た目です。MRI程の狭さや騒音はありません。MRIは一般的に撮影時間も長く閉所恐怖症にて検査困難という方は多いですが、PET-CTが撮影困難という方は少数です。
従来の健診のがん発見率O.1~O.3%に比べ、PET健診では1.0~2.5%程度とされており約10倍です。
また、良性・悪性腫瘍の鑑別診断や腫瘍の悪性度の診断、腫瘍の広がり診断などにも有用です。がん患者さんの治療方針の決定や治療効果の判定、再発の診断等が高精度に行えます。現在のがん診療では欠かせない検査となっています。
(がんと診断された方の病期診断・再発診断では早期胃癌を除くすべてのがん種にて保険適応が認められています。ただし他の画像診断で判断が難しい場合に限るとされています)
PET-CT検診は基本的に悪性腫瘍の発見を主目的に行いますが、動脈硬化、肺気腫、各臓器の炎症など腫瘍以外の病変が発見されることも多くあります。悪性腫瘍以外でも精査が望ましい場合は適切に提示致します。
PET-CT検査のご注意
・ごく早期のがん、塊を作らないがん、FDGの取り込みが弱いがんなど、PET-CTでは検出が難しいものもあります。すべてのがんを100%検出できるというものではありません。
※PET-CT検査は万能ではありません。他の検査・画像診断を組み合わせることで、さらに高い精度が得られます。
・残念ながらがんを100%発見できるというような検査は存在しません。どれだけたくさんの検査を受けても100%というのはありえません。PET-CTにても見つけることができない場合も実際に多々ありますが、一般的な検診に比較すると10倍程度のがんを発見できるというのは事実です。御理解の上で受診をご検討ください。
・PET-CTのみでは良性か悪性か断定ができず、他の手段による精密検査や経過観察CT等をお勧めすることが多々あります。PET-CTだけで診断確定できるわけではありません。悪性の可能性があるものを拾い上げていく検査と御理解ください。
・疾患頻度が高く、比較的進行したがんでもPET-CTにて発見されないことが多いものとしては、胃がんがまず挙げられます。
・FDGが尿中に排泄されますので、一般的にPETでは腎臓・尿管・膀胱など尿路系のがんは発見が難しいとされますが、CTも合わせて撮影を行いますので多くの場合はCTにて指摘されます(ただし早期の病変は発見が困難なことがあります)。
・PETでは指摘が難しい早期の肺がんは多いですが、当院では吸気撮影の肺CTも撮影しますので、CTにて指摘が可能です。
・当院では原則として頭部の撮影も行いますが、脳動脈瘤については指摘が困難です。脳動脈瘤の確認を御希望の場合はMRI検査が必要です。
放射線被ばくについて
1回の検査で、放射性薬剤と撮影による少量の放射線被曝、およそ8~12mSv(ミリシーベルト)を生じますが、これは一般のCT撮影(精密検査撮影)による被曝線量の約1/2に相当します。
このような少量の放射線が人体に与える悪影響(発がんなど)についてはビッグデータの収集が困難ですので正確なことは不明ですが、現実的にPET-CT程度の被ばくで将来がんが生じる可能性というのは完全にゼロでは無いかもしれませんが、ゼロに近い数字と考えられます。一方PET-CT検診にてがんが発見される可能性はそれなりにあります(2%程度)。一般的にメリットとデメリットのバランスで考えますと、受診のメリットの方がかなり大きいと考えられています。
当院では高性能の機器導入により、被ばく線量の低減に努めています(一般的に性能の高い機器の方が撮影に伴う放射線被ばくは減少します)。
また各個人に適した撮影方法を事前に、またリアルタイムに検討することにより、無駄な放射線被ばくをしないように工夫をしています。