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2023.03.08 お知らせ

線虫がんリスク検査(NーNOSE)について、当クリニックの見解(一部改変)

線虫がんリスク検査(N-NOSE)に関連したお問い合わせが多いですので当クリニックの見解を記載いたします。少々長いですがPET-CT検査の御予約・お問い合わせの前に是非一度お読みください。PET-CTを受けることの良い点・悪い点いずれもあります。内容をなるべく御理解頂き、御納得されてからPET-CTの予約をご検討ください。
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N-NOSE検査は簡便で身体の負担が無くさらに比較的安価でもあり、早期のがんを発見して多くの命を救うことに貢献することができる可能性をもつものかと思われます。しかし一方では現時点では高リスク臓器が特定できないという点から多くの方を過度に不安な気持ちにさせてしまっているという側面もあります。

統計から日本人のがん罹患率を約1%としますと、現在がんと診断を受けていない人の100人に1人ががんを持っているということになります。N-NOSEを受検すると、100人中約5人がD・E判定とされているようですので、実際にがんに罹患している人数の約5倍の人数にD・E判定が出されるということになります。このことからD・E判定となっても各種検査にて実際にがんが見つかる可能性は最大でも5人に1人(20%)程度になると思われます。(実際はN-NOSE検査の精度の問題がもありますのでD,E判定でもがんがある可能性はもっと低くなると推測されます)

つまり、多くの方が実際にはがん(いろいろな画像や内視鏡などの検査で見つけることができるレベルのがん)はないのにD、E判定でアフターサービスへの相談やがん検診受診推奨、となってしまっています。

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N-NOSE運営会社から受診者へ対するがんリスクの判定の通知方法、また高リスクということでさらなるがん検診の受診を推奨する割合が、検査開始時から何度か変更されています。当クリニックにて完全に正確に把握できているわけではありませんが、N-NOSE検査開始当初はN-NOSE受診者の約20%がリスクありということで医療機関に相談するようにと記載されていたようでしたが、2022年7月よりはN-NOSE受診者の約10%(C3・D・E判定)に人間ドックや5大がん検診受診推奨となり、その後2023年3月現在はN-NOSE受診者の約5%(D・E判定)の方に人間ドックや5大がん検診受診推奨というように変更されています。
...初期に比べると、がんが無いのに追加検査推奨されてしまうという人(偽陽性)はおおよそ4分の1になったと考えられます。ただし、逆に言いますと実際にはがんがあるのに追加検査推奨されない人(偽陰性)は増えているということに理論上はなります。
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 *以前はN-NOSE受診者の方の20%の方が中~高リスクの方ががん検診受診を推奨されていましたので、がんがみつかる可能性は最大でその20人のうちに1人(5%)程度という計算になっていました。しかしながらこれまで当クリニックでリスクあり(C・D・E判定相当)ということでPET-CTを受診された方(2022年12月までで約300名)のうち、PET-CT検査での異常指摘を契機として、その後の精密精査によりがんが確定した方は5%よりもはるかに低い結果となっています。
 
 *現在のD・E判定に相当する方に限定して、PET-CTを受けられた方にがんが指摘された割合については再度集計中ですが、20%というような高値では全くありません。


*注* PET-CTも完璧な検査では無いですので、PET-CTにて認識できないがんが存在している可能性はもちろんあります。
    PET-CTを含めた各種画像検査で認識できないようなごく早期のがんに線虫が反応している可能性もあると考えられます。
    つまり線虫検査でハイリスクだったけどPET-CTで異常なし=線虫が間違い、とは単純に判断はできません。
    あくまでも、線虫検査でリスクありの人で、PET-CTを受けて、実際にがんと確定まで至る人は、そこまで多くはありませんということです。

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D・Eリスクとなってしまった場合でもがんに罹患してい疑いがかなり強いというわけでは無いのですが、高リスクとなってしまった以上はなにかしら次の行動をしないとN-NOSE検査を受けた意味がありません。2022年7月からはN-NOSEの方でアフターサービスということで電話相談を受け付けるようになったみたいです。そこでどのような対応・返答、推奨などをされているのかわかりませんが、リスク臓器が特定できないという点は変わりませんので、その後の受けるべき検査を考えていく、というのは非常に難しい問題であることはこれまでと同様と思われます。

次にどのような検査を受けるべきか?という質問に対し、すべての人に当てはまるような明確な一つの正答は無いと思われます。
最近他に受けられた検査、既往歴、性別、年齢、家族歴、予算、考え方など個人ごとに異なる要素がたくさんあります。

まずN-NOSEをもう1回受けてみて、結果がどう変わるか、変わらないのかを確認するというのも考え方としてはあると思います。ただし仮にD判定がB判定になったとして安心できるかどうかは個人の性格次第だとは思われます。何回受けてAもしくはB判定が続けば、安心できるでしょうか。複数回の受検となればそれなりにコストもかかります。(そのように判定がころころ変わりうるものか、変わってもいいものかどうかはわかりません)

国が検診の受診を推奨している5大がん検診(胃、大腸、肺、乳腺、子宮)をとりあえず受けてみる、もしくは年齢・性別から確率の高いがんをスクリーニングしていく、というのも考えられます。しかし良くも悪くも大多数の人はがんは発見されません。そこで5大がんや可能性が高いがんがなかったのでもう大丈夫だ!と冷静に割り切ることができる人は多分少数だと思います。多くの人が次に何か検査したほうがいいのだろうか...と不安を抱え続けることになりそうです。そしてさらにどこまで検査しても不安がぬぐえない状況になると思います。N-NOSEに限らず、腫瘍マーカー、その他のがん検診に関するリキッドバイオプシー検査の多くに共通した最大の欠点は、検査自体は簡便ですが、陽性となってしまった場合の心理的負担がかなり大きいという点です。
N-NOSEでがんリスクが高いと判定されても偽陽性(実際にはがんでは無い)の確率が高いですので最初から全身をくまなく必死に検査していく必要性は低いかもしれませんが、確率は低くても実際にがんを持っている人もいます。自分の命はひとつしかありませんので、どうしても心配になってしまう方が多いと思います”N-NOSEや検診の腫瘍マーカー異常なんてほとんど当てにならないから、無視してよい”というような記載もネット上では散見されるようです。確率論からいくとそれが正解のようにも思われるのですが、なかなかそう簡単に割り切れるものでは無いと思います。

どうしても不安になってしまうという心理的な面も踏まえますと、一般的な住民健診や会社の健診くらいしか受けていません、というような方にはPET-CTを最初から行うというのも有力な選択肢の一つと考えます。
もちろん完璧な検査では無いですが全身を比較的高い精度でスクリーニングできます。どこにがんがあるかわからないが、どこかにあるかも、という状況では多くの臨床医がまず一番に思い浮かべる検査と思います。
PET-CTの良い点は薬によるアレルギー反応はまず生じないこと、検査の苦痛が非常に少ないこと、がんの精密検査や検診にてすでに多くの実績があり有用性が確立されている成熟した検査ということなどです。保険診療では早期胃がんを除くすべての悪性腫瘍にてPET-CT検査の利用が認められています(他の画像検査で判断が難しい場合、という制限はあり)。
PET-CTの一番の問題点は費用が高額という点です。特殊な薬剤を用いますのでどうしても高額になります。N-NOSEにて高リスクと判定されても実際にはがんが無い人が多数ですので、結果的にはPET-CTをしても何も見つからない人が多数ですそういう意味ではコストパフォーマンスは良くないというか、かなり悪いということになるかもしれません。結果として多くの方はある程度の安心感を買うという意味合いが強くなります。
また次によく欠点として挙げられるのは少量ですが放射線ひばくがあるという点です。ただしひばくに関しては小児・妊婦の方を除けば年に1回程度受ける程度では健康被害を及ぼす可能性はまず無いに等しいと考えられますので、これについては実際はそれほど神経質になるものでは無いと考えます。
この他の欠点としては、PET-CTの結果により、実際はがんでは無いのにがんの疑いがあるもしくは可能性を否定できないというような所見のために、PET-CT後の追加精査や経過観察が必要となってしまうことがそれなりに生じてしまうことです(この場合は保険診療になります)。ただこの欠点はPET-CTに限ったことではなくほとんどすべてのがん検診検査にあてはまります。

N-NOSEでは少なくとも15種類のがん検出に有効とのことですのでこれらのがんを一つ一つ狙って検査していくのは大変です。基本的に健康保険はきかずに100%自己負担ですので費用もかなり高額になってきます。また実際には15種類以外の有効性が確認されていないがんに線虫が反応して高リスクになっているという可能性もあると考えられます。他の検査をたくさん行っても、なかなか不安をぬぐうのは難しそうです。そうなると検査の手間や苦痛、安全性なども考えると高額ではありますが最初からPET-CTをするのがいいのかな?と思います。
​​​​​PET-CTの検出力がそれほど高くないがんで、かつ疾患頻度が高く致命的になりやすいのは胃がんです。PET-CTにて異常がなかった場合には、基本的に胃カメラは追加でお勧めしたいと考えています。
PET-CTにて異常がなく、さらに胃カメラでも異常が無いとなれば、深刻な状態の急を要するようながんがかくれているという可能性は相当低くなると思われます。もちろんごく早期のがんを見つけられない可能性はあります。しかし早めに対応しなければならないレベルのがんであればかなり発見できると思います。​​​​​​​他の検査と同様に絶対にがんは無いとは言えないですので、完全に不安が消えるという訳では無いのかもしれませんが、ある程度は安心して頂くことができるのでは無いかと思います。
早期がんの検出はPET-CTでは困難という記載が散見されますが、PET-CTで見つかるようながんはすでにほぼ手遅れとういような事では全くありません。

最終的に、N-NOSE検査にて高リスクの方にPET-CTを含め、どれだけたくさんの詳しい検査をしても理論上、多くの方は何も見つかりません。どこかでは気持ちを整理して割り切らないといけません。実際に当院でもすでに多くの方がN-NOSE中リスクから高リスクということでPET-CTを受診されましたが大多数は何もみつかっていません。もし体のどこかにがんの芽のようなものが存在していたとしても、画像などの検査で客観的に発見できなければ普通は治療もできませんし、また定期的に検診受診をして進行がんとなる前に発見できればいいと思います。
実際、毎年PET-CTを定期的に受診されておられる方も多くおられますが、1年前のPET-CT検診にで異常なしの方に、その1年後のPET-CT検診で手遅れの進行がんが見つかるというようなケースは極めてまれです。

*N-NOSEをきっかけとして、当院のPET-CTを受診されて早期がんがみつかり、無事に根治手術につながった方もおられます。
(こちらの公式facebookにも情報を追加記載しています ”がん検診、リキッドバイオプシー かPET-CTか?”)
 https://www.facebook.com/fukuokawajiropet 

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当クリニックにて自由診療によるPET-CTを受けられる場合には検査の結果を面談にて担当医自ら御説明させていただきます。
紙による検査結果通知だけという施設も多いとかと思われますが、医療に詳しく無い方はその後の対応などについての判断が難しいことも多いと思います。簡単にでも検査結果を直接御説明することで、受診者様の不安を少しでも解消したいと願っています。
検査結果に応じて今後の追加検査のご提案などをさせていただきます。必要な場合は適切な医療機関のご提案、紹介状作成をさせていただきます(追加の費用は一切かかりません)。
最終的な結果報告書と画像データは医師2人によるダブルチェックを行い郵送いたします。担当医はいずれもPET-CT検査に長く携わっている放射線診断専門医かつPET核医学認定医・核医学専門医です。また必要な場合は併設の福岡和白病院の各専門診療科医師からの助言を得たうえで検査報告書の作成を行います。
撮像に用いる機器は開院以来更新を重ねており最高水準の装置を有しています。
高額な検査にはなりますが、受診者の皆様のがん発見、また不安を和らげるお役に立てればと切に考えています。

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追記

PET-CTと合わせて内視鏡検査や腫瘍マーカーなどを同時にできませんか?というお問い合わせを多く頂いております。

大変申し訳ありませんが、当クリニックではPET-CT以外の検査依頼は対応できません。
尚、線虫検査陽性とのことでPET-CTを受診された場合、PET-CTの結果次第で他にお勧めするべき検査が変化することも十分考えられます。
また、仮にPET-CTにて異常を疑われた場合は、保険診療にて精密検査となるケースもあると思われます。
二度手間とはなりますが、PET-CTををうけるということであれば、まずPET-CTを受けてからその結果次第で次を考えて頂いたほうが体への負担、また費用の面でもメリットがあるかと思います。
(その際は年齢などの条件があえば自治体の補助で検診の内視鏡検査などが可能な場合もありますので、居住されている各自治体のサイトなどもご確認いただければと存じます。)

一般健診など何も受診されていないという方であれば、当クリニックの提携施設であります福岡和白総合健診クリニックにて生活習慣病のチェックなども含めた各種PETドックの御予約も可能です。
こちらでは各種オプション検査も含め、一度に予約が可能ですので御希望の場合はお問合せください。
https://www.fw-kenshin.net/petdock